システム監査技術者試験(AU)
システム監査技術者試験は、高度IT人材として、被監査対象から独立した立場で、情報システムや組込みシステムに関するリスク及びコントロールを総合的に点検、評価し改善を勧告することができるレベルであるかを問われる国家試験です。
試験のレベルは他の高度情報処理技術者試験と同じ最も難易度の高いスキルレベル4に相当しますが、特に、高度情報処理技術者試験の中でも、ITストラテジスト試験とプロジェクトマネージャ試験と並んで最も難易度の高い情報処理技術者試験とされています。
ITストラテジスト同様、独立も可能ですが、実務では監査報告におけるコミュニケーションが不可欠なので、コミュニケーション能力も大切な要素になります。
システム監査技術者試験の役割
被監査対象から独立した立場で、情報システムや組込みシステムを監査する業務に従事し、次の役割を主導的に果たすとともに、下位者を指導します。
1.情報システムや組込みシステム及びそれらの企画・開発・運用・保守に関する幅広く深い知識に基づいて、情報システムや組込みシステムに関するリスクを分析し、必要なコントロールを理解する。
2. 情報システムや組込みシステムに関するコントロールを検証又は評価することによって、保証を与え、又は助言を行い、ITガバナンスの向上やコンプライアンスの確保に寄与する。
3.2.を実践するための監査計画を立案し、監査を実施する。また、監査結果をトップマネジメント及び関係者に報告し、フォローアップする。
システム監査技術者試験
受験資格
年齢・性別・学歴に関係なく、誰でも受験できます。
以下のいずれかの場合、本人の申請によりその後2年間、午前Ⅰ試験が免除されます。
①応用情報技術者試験に合格した者
②いずれかの高度試験に合格した者
③いずれかの高度試験の午前Ⅰで基準点以上の成績を得た者
④情報処理安全確保支援士試験に合格した者
⑤情報処理安全確保支援士試験の午前Iに基準点以上を得た者
試験日時・試験の方法・試験の内容
受験(願書)の申し込みは例年1月の上旬から2月の上旬までに受付されます。
試験は、春期のみ。例年 4月の第3日曜日に実施されます。
午前Ⅰ試験 09:30-10:20(50分)
テクノロジ系、マネジメント系、ストラテジ系から30問
※四肢択一問題30問×3点または4点で合計 100点
午前Ⅱ試験 10:50-11:30(40分)
システム監査技術者に必要な専門知識25問
※四肢択一問題25問×4点で合計 100点
・データベース
・ネットワーク
・セキュリティ
・システム開発技術
・サービスマネジメント
・システム監査
・経営戦略マネジメント
・企業活動
・法務
の9分野から出題
午後Ⅰ試験 12:30-14:00(90分)
※記述式4問中2問回答×50点で合計100点
午後Ⅱ試験 14:30-16:30(120分)
※論述式3問中1問回答×100点で合計100点
<午後試験の出題範囲>
①情報システム・組込みシステム・通信ネットワークに関すること
②システム監査全般に関すること
③システム監査の計画・実施・報告に関すること
④システム監査関連法規に関すること
合格基準
午前Ⅰ | 午前Ⅱ | 午後Ⅰ | 午後Ⅱ | |
試験 時間 |
50分 | 40分 | 90分 | 120分 |
出題 形式 |
多肢選択式 (四肢択一) |
多肢選択式 (四肢択一) |
記述式 | 論述式 |
出題 数 |
30問出題 30問回答 |
25問出題 25問回答 |
4問出題 2問回答 |
3問出題 1問回答 |
合格 基準 |
100点満点中 60点以上 |
100点満点中 60点以上 |
100点満点中 60点以上 |
ランクA (合格水準に ある者) |
受験者の壁と言われているのが午後に実施される論述式試験ですので小論文の対策には重点を置きたいものです。
また、午前の試験には基準点があり、基準点を下回ると午後の採点を行わずに失格となるいわゆる足きりがあります。
受験料
平成30年は、5,700円
合格者の特典
システム監査技術者試験の合格者は、
・弁理士試験の科目免除
・中小企業診断士試験の科目免除
などのほか、警視庁特別捜査官の4級職(警部補)のコンピュータ犯罪捜査官の任用資格や日本システム監査人協会の公認システム監査人補の申請資格が与えられます。
また、システム監査技術者試験の合格者は特定非営利活動法人日本システム監査人協会(SAAJ)に登録申請のうえ、2年以上のシステム監査の実務経験を積むことで公認システム監査人(CSA)に認定されます。
さらに、システム監査技術者試験に合格した者又は午前Iに基準点以上を得た者はその後2年間、他の高度情報処理技術者試験及び情報処理安全確保支援士試験の午前Iの科目免除が受けられます。
システム監査技術者試験の難易度・合格率
システム監査技術者試験の合格率は近年は13~15%前後で推移しています。
合格率だけをみると、さほど難易度が高いようには感じませんが、業界内でも経験を積んだベテランが受験しますので、実質的な難易度は数字以上に高くなります。
ITストラテジスト試験やプロジェクトマネージャ試験と並び情報処理技術者試験で最難関の試験です。その難易度は技術士と同等と考えてよいでしょう。
合格発表は試験日より2ヶ月後に行われます。
システム監査技術者試験の過去問や合格体験記
システム監査技術者試験の過去問
参考:情報処理技術者試験の過去問・・・システム監査技術者 過去問。
参考:システム監査技術者試験の勉強方法と合格するためのコツ・・・これまでの10年間で色々な情報処理技術者試験を受験してきたのですが、ようやく勉強のコツが分かってきたような気がします。
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